ここまで長く真剣な勝負ができたことが幸せな選手生活だったと思うので、悔いはない―昨日の引退会見における水泳・北島康介の言葉だ▼すがすがしさに満ちたこの発言が、新スタートを切った若者たちに、どれほどの勇気と希望を与えるだろうと、最後まで輝きを放ち続ける彼の瞳に見入った。誰もが悔いのない生活を送れるわけではく、それは相当の努力と覚悟により得たものであることは間違いない▼それでも、夢に向かって前進することが、自分を強く大きくすることにつながることは実感できる。新人こそ北島氏の言葉をかみしめてほしい、そんな思いにさせられた。そして、それには応援してくれる大人の存在が不可欠だとも思っている▼あなたの夢をあきらめないで。遠くにいて信じている―岡村孝子の歌の一節だが、新人を見守る親心にも通じそうだと、ふと頭に浮かんだ。新人の持つ力に希望を抱く多くの大人たちの期待にも思いが行く今日このごろである。