明日は昭和の日。平成も28年を数えると、すっかり昭和は遠くなった▼昭和30年代後半に生まれ、東京五輪は記憶にないが、大阪万博や冬季の札幌五輪は覚えている。家庭のテレビが白黒からカラーに移っていく時期で、友達の誰かが「家のテレビがカラーになった」と喜んでいるのをうらやましがっているうちに、わが家もそうなった▼そんな子ども時代を過ごした昭和40年代。至るところに空き地があり、近くの野や海がそのまま遊び場で、落ちている木枝や石、貝殻が遊び道具だった。逆にいうと、近くに遊具が整備された公園などなく、そうした場所で遊んだ記憶もない▼翻って今、田植えなど子どもたちの体験学習を取材することがある。土と向き合い、一生懸命に作業する子どもたちの姿はとてもほほえましい。ただ、こうした土との触れ合いは、もともとは場を設けずとも日常の中に普通にあった体験のはず。場を設けなければならない平成の今が少し悩ましい。
片隅抄