政治資金の私的流用が問題になっている舛添都知事。ケチとは違う、あまりの「せこい」話にこの人の資質は、いつごろ形成されたのかと思ってみる▼誰でも自分の懐が痛む出費は正直避けたいものだが、それでは人付き合いもできない。できる範囲で自腹を切ることも大切だが、法にふれると社会的制裁を受けることもある▼最近ブーム著しい田中角栄元首相。没後、23年過ぎようやく再評価されつつある。代議士時代、数多くの議員立法を成立させ、現在においてもその効力が脈々と続く。幼少時、経済的に苦労したらしく、頼れるのは「金」と人生哲学を明確に打ち出した▼100万円を無心した自派議員に300万円を用立てる。そのメモには、不始末を処すアドバイスとともに「以上、返済無用」の文字があったという。だからどうした、といわれる向きもあろう。金銭哲学を批判するのはたやすいが、いざというとき、他人に尽くすことができるかどうか。