佳境を迎えるリオ五輪。日本と大幅な時差があるため、本国選手の試合観戦は夜中、あるいは早朝に限られる。それでも、連日のメダルラッシュはうれしいものだ▼記憶にある五輪中継は72年のミュンヘン大会。松平康隆監督率いる日本男子バレーボールが金メダルを獲得する快挙を成し遂げたが残念なことに、ほかの競技は思い出せない。ただ開催期間中、アラブゲリラによるイスラエル選手村の襲撃事件があった▼人質を取り、仲間の釈放を要求するゲリラ。流血の惨事となり最悪の結末を迎えた忌まわしい出来事だった。詳しい事情は理解できなかったが、現場を往来する西ドイツの軍装甲車に不気味な感覚を覚えた▼4年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック。早くもアスリートたちに期待する声が聞こえる。メダル獲得も大事だが、開催国日本の準備態勢も問われる。万全な治安維持のもと、平和で安全な国家を世界にアピールしてもらいたい。
片隅抄