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片隅抄

2017.01.28

19年ぶりの日本人横綱誕生は、大相撲が単なる勝った・負けたのスポーツではない、ということを再認識するチャンスでもある▼神代の昔、野見宿祢と当麻蹴速が対戦した角力に始まる大相撲は神事の上に成り立つ。野球やサッカーと同じスポーツだったら大銀杏を結って裸でまわし姿にならなくてもいいし、行司さんはもっと動きやすいウエアであるべきだ。制限時間まで何度も仕切りを繰り返す意味だってなくなる▼しかしその仕切りも互いの呼吸がバラバラで、立ち合いに至っては小賢しい駆け引きが目に余る。神への感謝の手刀も適当に見えて仕方ない。土俵上のガッツポーズ、そして横綱の無用な張り手や立ち合いの変化……。大相撲ファンとしては「勝ちゃいいんだろう!」はあってほしくない▼一つ一つの所作には意味があり、こうした動きは歌舞伎や狂言などの伝統芸能にも通じる。伝統を正しく後世に伝える土俵の充実が今の大相撲界に求められると思う。

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