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片隅抄

2017.09.02

日本選手の活躍が続いている柔道世界選手権。昨夜の中継では、女子70㌔級で優勝した新井千鶴の試合を伝えていた▼新井といえば、2年前の同大会では出場した女子9人のうち1人だけメダルを逃し、昨年のリオ五輪出場を逃した悔しい過去がある。そのリベンジを果たし、20年東京五輪へ弾みがついたのだから喜びもひとしおだったはずだ▼だがどうだろう。新井は優勝を決めた瞬間から一礼をして試合場を出るまで表情一つ変えず、待っていたコーチに祝福されて初めて笑顔と涙を見せた。日本の武道である柔道とはいえ今では珍しい、共に闘った敗者への敬意を示した新井の態度だった▼こう書くと、サッカーのようにどうして歓喜の気持ちを素直に出してはいけないのか、と言う反論が出る。ましてや国際JUDOの場だ。SUMOとなった大相撲も土俵上でのガッツポーズが当たり前のようになっているし。でもね…。やはり新井の毅然とした態度は立派だった。

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