先日、泊まりがけでスキーに行った友人の話を聞いた。スキーの楽しい話と思いきや、併設されたホテルの苦情とも取れる話だった▼15時のチェックイン前に到着、荷物を預けゲレンデに飛び出した彼は、季節外れの雨にホテルに戻って来たのだという。その時点で14時。濡れた衣服を乾かすため早めに部屋に入れないかとお願いしたが、ダメだったとのこと。せめてスキーだけでもロッカーに置かせてと頼んでも、答えは同じ▼ロッカーくらいは空いてるんじゃない? 友人の問いかけに、従業員はいったん裏に回り、部屋の鍵を持って来たのだという。規則だから仕方ないが、臨機応変に対応すべきじゃない? 友人の意見に同調した▼「忖度」という言葉が流行した。悪い意味で広がった感はあるが、実際は、相手の気持ちを推しはかることで、日本人特有の美しい表現の一つだ。サービスの原点と言ってもいいだろう。人間関係を築く上で一番大事な事かもしれない。
片隅抄