中学生だったから、昭和48年ごろか。先日亡くなった西城秀樹さんはデビュー2年目で、『傷だらけのローラ』などをヒットさせて爆発的な人気を誇っていた▼歌謡界はアイドル歌手全盛期。同級生にヒデキファンの女の子がいて、絶叫型のワイルドな彼がほほ笑む下敷きを愛用していたが、お堅い理科の先生の目に留まり、「こんなのはすぐ人気が落ちてダメになっていくんだ」と吐き捨てられた▼授業中だというのに彼女も負けていない。「そんなことない! これからもっと人気が出るんだから」と反撃する。彼女の予想は当たった。『ヤングマン』が登場するのはそれから5年後。年齢に応じた芸能界でのヒデキの長い活躍ぶりはご存じの通りだ▼あのとき、あんな曲が流行ってた――人生という長い航海の中で、一つの時代を彩ったヒット曲は灯台のようである。ブームが去ったグループサウンズに取って代わって登場したアイドル時代。ふと中学時代を思い出した。