「記憶にございません」――昭和51年に起きたロッキード事件の証人喚問で繰り返し耳にした言葉だ。歴史は繰り返すというが、40年以上もたった今の国会でも森友・加計問題でいろんな人たちがこう証言してうやむやにした▼便利な言葉だ。「総理とは会っていない」と証言すれば偽証になりかねないが、会っていても「会った記憶がない」と言えば偽証に問われない。もちろん、それが見え透いたウソだと誰もが知っているからシラケるだけだ▼サッカーファンはW杯開幕前、西野ジャパンにどんな辛辣な評価をしていたか記憶にあるだろうか。勝手なもので、〝半端ない〟の流行語も飛び出し手のひら返しの賛辞を送っている▼「なぜネガティブにならなければならないのでしょうか?」。記者会見での西野監督の言葉が記憶に残っている。勝利のためにあえて攻撃をせず、ブーイングを浴びても批判を受けても自陣でボールを回し続ける。日本サッカーの成熟を見た。