「成人の日」には毎年、取材でどこかしらの式典会場に足を運ぶ▼振り袖の裾を気にしながら会場入りする雪の成人式もあった。山間部ではたった1人を大勢の地域の人や家族が祝福した。「新成人がアホやから講演はでけへん」ではないが、記念講演に訪れた野球評論家の江本孟紀さんが会場の騒々しさに怒り、途中で退席したこともあった▼体は大人でもまだまだ子どもだ。大人の自覚を持って臨む〝元服〟としての式典よりむしろ、雰囲気は旧友との再会を楽しむクラス会だ。記念行事と合わせた1時間余りの間、周りの大人たちが予定したスケジュールが平穏に終わるよう、御膳立てに苦労している様子は昔も今も変わらない▼いっそ市を挙げた形骸化した式典などせず、七五三と同様、家族内で祝えばいいのにと思うが、そこは〝経済効果〟の問題があるから簡単にはいかない。18歳が成人となれば、成人の日の在り方も変わってこよう。将来像はどうなるのだろう。