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片隅抄

2020.5.19

記者は日々、消費していくもの。生産性のある<何か>を持たなければ、枯渇するばかりだ――。かつて大先輩から受けた助言が、長らく胸の奥のつかえとして残っていた▼30代までは目の前の事象をがむしゃらにこなし、ひたすら記事化することしかできなかった。趣味に没頭する余裕もない。知層を深めるすべも知らない。いたずらに時だけが過ぎていった▼転機となったのは震災だ。被災者が復興に向けて互いに手を携えようと、フェイスブックなどのSNSが爆発的に普及。抄子も「がんばっぺ」の精神で古里の復興に少しでも役立てればと、日々の情報をネット上で精力的に発信した▼幾度となく苦しみを味わったが、出あいに恵まれ今ではお米に果物、季節の野菜作りに挑み、フットサルでも汗を流すまでに。いつしか生産者としての気構えを持てるようになった。とはいえ、まだ浅く広く知識もさわり程度。深みを持たせるには、経験を積むしかない。

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