震災翌年の平成24年7月23日、会津坂下町の鶴沼球場でこの年、唯一のいわき勢対決となった平工業と磐城桜が丘の一戦が行われた。創部初の16強入りを決めた磐城桜が丘が2点を先行したが、七回に同点に追いつかれ、最終九回2死満塁のピンチ。酷暑のマウンドで、細身の主戦が投じた134球目は左中間にはじき返され、サヨナラで力尽きた▼代替大会となった今夏、8年ぶりの16強入りが期待された磐城桜が丘だったが、白河の地で力尽きた。だが昨秋、恩師との永久の別れを経験した選手たちが躍動し、夏2勝を手にした▼後半戦は8月1日に再開。いわき勢はシード校の磐城、東日大昌平のほか、来年度、小名浜と統合するいわき海星が強豪ひしめくし烈な戦いに挑む▼新型コロナの影響で声援なき球場となり、聖地への夢が閉ざされたが、県頂点をかけた戦いはまだ続く。ファンは決死で戦う選手たちのドラマを見られない。見えない敵を恨むばかりだ。