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片隅抄

2021.03.09

東日本大震災が発生し、11日で10年。いまだ当時の情景がフラッシュバックする。沿岸域は津波に飲み込まれ、平野、山間部でも多くの家屋が損壊。天変地異かと思うほどの猛威にさらされ、震えながら夜を明かした▼避難所に身を寄せ、水や食事もままならぬ中、12日午後、福島第一原発1号機原子炉建屋が爆発。14日は3号機。放射能の恐怖におびえ、これからの暮らしに絶望した。メルトダウン(炉心融解)しているだろうことは現場でも大方予想はついたが、東電は事故後2カ月間、認めなかった▼先月13日に福島、宮城両県で起きた余震。東電は3号機設置の地震計が故障していたにもかかわらず、修理せず放置していたことを明らかにした。幾度も指摘されてきた危機管理と情報開示の不備が、いまだ改善されていないことが分かる▼1号機格納容器の水位低下も気がかり。自然の脅威にはあらがえないが〝人災〟は対策が打てる。何度も言う、襟を正すべきだ。

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