上皇さまと美智子さまは皇太子ご夫妻だった今から60年前の昭和36年6月1日、放魚祭ご出席のためいわきを訪れた▼平駅に降り立つ前の小川郷駅では、列車の窓越しに美智子さまが「戸渡分校の子どもたちは?」とホームで迎えた小川町長にお尋ねになった。ヤマユリの球根を贈られたお礼を直接伝えたかったのだ▼「子どもたちは平駅でお待ちしております」と答えた町長の隣でこの様子を写真におさめていたのが、当時の町役場職員で、先日97歳で亡くなった国府田英二さんだった。小川町の生き字引だった国府田さんに当時のことを詳しく聞きたかったのだが、ご高齢で新型コロナの心配もあったためとうとう聞けずじまいに終わった▼もう1人のヤマユリ分校の生き証人で、当時分校主任だった古山一郎さんも90歳に近い。昨年の古山さんの連載をきっかけに60周年記念行事を開く計画もあったが難航している。子どもたちも70歳代。やるなら今年なのだが…。