昨季、サンマ一尾5980円との報道を目にし、驚きのあまり素っ頓狂な声を上げた。ご祝儀とはいえ、サンマもついに高級魚入りか。時季も進めば安くなるだろうとの希望的観測はついえ、生は一尾200円以上。塩焼きが毎日の食卓を飾った時代が懐かしい▼先日も道東沖の流し網漁で、一尾も水揚げされない異常事態が続いているとの記事がでかでかと新聞紙面を埋めた。漁場が遠く10㌧未満の小型船で見つけるのが困難だという。そうなると、16日に小名浜を出港した100㌧超えの大型船に託すしかない▼とはいえ、さらに規模の大きな外国船が公海上で未成熟な個体を大量に漁獲。地球温暖化で海洋環境も大きな変化を迎える中、在りし日の食卓にしがみつくのは人のエゴなのかもしれない▼抄子はサンマの塩焼き、甘辛い煮つけで魚の箸づかいを覚えた。いま思えばこれも情操教育の一環だったか。子に旬の魚を食べさせてあげられないのは、何ともさみしい。