梓ちゃんは今、48歳前後なっている。中学生のとき担任の先生に女の子が生まれ、「みんなで娘の名前を考えてくれ。大きくなったら教えてあげたいんだ。11画で」と照れながら言った▼名前には、子の健やかな成長を願う家族の思いが込められている。梓ちゃんの場合は、先生の気持ちを汲んだわれわれ3年2組42人の生徒が味方についていることになる。人生の前半を幸せに送ってくれたと信じている▼ならば今風の「桜利斗」という名前は誰がどんな気持ちを込めて命名したのだろう。新しい命の誕生が誕生したとき多くの人が喜んだはずだが、桜利斗くんはわずか3歳で非業の死を遂げてしまった▼幼児虐待は今回も防げなかった。見かねた母親の知人が市に相談したのにだ。行政は状況確認をだとか、プライバシーが、個人情報がと必ず言い訳をする。児童相談所も警察も機能を果たせなかった。この繰り返しで今までいったい何人の幼い命が犠牲になっただろうか。