NHKの「歴史探偵」。〝妖怪〟がテーマだった8日放送分で広島県三次市にある湯本豪一記念日本妖怪博物館が紹介され、そこの目玉収蔵品として木彫りの妖怪像が映し出された。手のひらサイズで、立像が36体、ほかに100体の座像があるという▼昨年夏、県立博物館で開かれた妖怪や幽霊、怪異な出来事を紹介する企画展「あはひのクニ あやかしのクニ」でこの像が10体ほど展示されていて、かつていわき市にこんな謎めいた木像があったのかと初めて知った。そばの説明文には、もともとはいわき市泉町の、廃仏毀釈で今はない威徳院という寺に納められていたと書かれていた▼地元泉町の郷土資料にもこのことが記述されているが、詳細はわからない。どういう経緯で妖怪に詳しい民俗学者の湯本氏の手に渡り、遠い地の博物館に移ったのだろうか。いわきにないのは残念だが、貴重な木像の散逸を防ぎ、きちんと保管してくれたことに感謝せねばなるまい。
片隅抄