終戦記念日が近づくにつれて、戦争報道が増える。テレビで戦争の映像が流れると、母親は「戦争は嫌いだ」と、しみじみとした顔で語っていた▼母親の父親は南洋の島で戦死した。自身も米軍の戦闘機の機銃掃射に逃げまどい、裏山から爆撃機に向けて発射される大砲の音と光が今でも目に浮かぶと。母親からは8月に入ると、よく戦時中の体験談を聞かされたものだ。その母親も今春亡くなった▼今や人口の約9割が戦後生まれとなった日本。戦争の恐ろしさ、悲惨さを知る人は少なくなり、戦争は記憶から歴史の中の出来事の一つになりつつある。戦争を自らの思いとともに語った証言は、今となっては亡き母の貴重な〝遺言〟となった▼ロシアのウクライナ侵攻に端を発し、国会では防衛費の増大を求める声が大きい。我々日本人は軍備の拡張からは、平和が訪れないことを先の大戦で学んだはず。自衛だけではなく戦争ができる国となってしまってもいいのか。
終戦記念日が近づくにつれて、戦争報道が増える。テレビで戦争の映像が流れると、母親は「戦争は嫌いだ」と、しみじみとした顔で語っていた▼母親の父親は南洋の島で戦死した。自身も米軍の戦闘機の機銃掃射に逃げまどい、裏山から爆撃機に向けて発射される大砲の音と光が今でも目に浮かぶと。母親からは8月に入ると、よく戦時中の体験談を聞かされたものだ。その母親も今春亡くなった▼今や人口の約9割が戦後生まれとなった日本。戦争の恐ろしさ、悲惨さを知る人は少なくなり、戦争は記憶から歴史の中の出来事の一つになりつつある。戦争を自らの思いとともに語った証言は、今となっては亡き母の貴重な〝遺言〟となった▼ロシアのウクライナ侵攻に端を発し、国会では防衛費の増大を求める声が大きい。我々日本人は軍備の拡張からは、平和が訪れないことを先の大戦で学んだはず。自衛だけではなく戦争ができる国となってしまってもいいのか。