バイト代の大半をレコード。購入に費やしていた学生時代。ジャケットの好みで買う「ジャケ買い」をかつて紹介したことがあった。もちろん内容的に外れも多かったが、当たった時は、何か遺物を掘り当てたような誇らしい気分になったものだ▼もう一つ、こだわりの買い方があった。それは、レコーディングに参加しているスタジオミュージシャンを追うこと。これには一つきっかけになったことがある▼「サッド・カフェ」というイーグルスの曲に哀愁を帯びたサックスのソロがある。クレジットを見ると「D・サンボーン」と書かれていた。後日、ふと立ち寄ったジャズ喫茶で流されていたのが彼のアルバムだった。すぐさまレコード店に駆け込み同じものを買った▼その買い方というか、クレジットを見ることは今でも続いている。ただ、レコードやCDではなく配信が主流になってくると事情も変わってくるが音楽の楽しみは聴くだけではない。探すことの楽しさもある。
片隅抄