その一瞬が一生の思い出になるように――そんな気持ちでカメラのシャッターを切っている。あるいは自分の子どもを撮るように▼会心の1枚をモノにするのは難しいが、ありがたいことに読者から掲載写真の注文をいただくことがあるので、報道関係という〝トラの威〟を借りて特別な場所を与えられているのだから、必死にその一瞬に神経をとがらせている▼注文が多いスポーツ写真のときはなおさらだ。殊に剣道の一本は難しい。先日もいわき出身の大谷昇平選手が活躍した全日本剣道選手権をテレビで見たが、いつ一本が決まったのか目がついていかなかった。瞬時に旗を挙げる審判の眼力に恐れ入る▼それでもいいスポーツ写真を撮るコツはわかってきた。その競技のルールとチーム・選手の特徴を理解すること。そのうえで試合の〝先を読む〟勘を研ぎ澄ますこと。カメラマンの立場で試合に加わっているかのように。ま、未だ成果には至っていないのだが……。