サッカーW杯をテレビで見ていたら、試合前のウオーミングアップで日本選手とドイツの選手が笑顔で語り合っている▼2人はドイツのクラブチームの同僚だから、互いの健闘を誓いあっていたのだろう。時代も変わったものだ。かつてラグビーの日本代表や早大を率いたカリスマ監督大西鐵之祐は大事な試合前に選手と水杯を酌み交わし、最後に大西が杯を割ったという。球界のご意見番張本勲氏もその光景を見て「喝!」と断じたであろう▼しかしだからこそ、選手たちはW杯という大舞台でも平常心で戦えるという見方ができる。普段から海外の高いレベルで切磋琢磨し、外国語をマスターし、その国の生活に慣れ、日本とは違うサッカーを肌身にしみ込ませる。ラグビー日本代表のW杯での快進撃も国際化のたまものだ▼W杯で日本代表は昨夜、コスタリカに敗れた。ドイツ戦の勝利が奇跡であるなら1勝1敗は想定内だ。あとは国際化にない個々の精神力の勝負だ。
片隅抄