この師走で自民・公明の両党が、政権に復帰して10年になる。政権交代に熱狂した国民の希望が、失望に変わった結果だった。後継政党は、先の衆院選福島5区で候補者を擁立できなかった▼代わりに立った共産党は、今年7月に結党100年を迎えたが、関係者を扱ったドキュメンタリー映画「百年と希望」がいわきPITなどで上映されている。本作は共産党の99年目にカメラを向けた。あらすじだけ聞くと、イデオロギーを強く感じるが、決して共産党礼賛の映画ではない▼劇中で語られたジェンダーや経済格差、子どもの権利などは、まさしく日本社会の問題。思想を抜きに、「政治とは何か」を考えさせられる良作だった。観賞中にくすりとするシーンがあった▼共産党の機関紙「しんぶん赤旗」編集部。締め切り時間と格闘したり、見出しに頭を悩ませたり、はたまた写真を1段に落とされてぼやいたり。主義主張は異なれど、新聞製作の現場に変わりはない。
片隅抄