「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」と書いたのは川端康成だが、「国道49号いわき三和トンネルを抜けると雪国であった」のはいわき市の冬の光景だ▼平成の大合併でかつて市の面積日本一(1232平方km)だった本市も現在は12位。1位の岐阜県高山市は2177・6平方kmもある。それでもいわきの気候は多様性に富む▼東の比較的温暖な海岸部から建物と人口が集まる市街地を経て西の500~600m前後の山間部へ向かえば、この時期、そこは寒さの厳しい雪国だ。フラガール、サンシャインいわきの温暖なイメージから、つい高齢化・過疎化が進む川前、三和、田人の風土を忘れがちだが、阿武隈高地に抱かれた厳しい冬もいわきの顔であることを忘れてはいけない▼雪と寒さもまた天の恵みだと思えば、これを新たないわきらしさにしてまちづくりに生かさない手はない。ミニスキーにミニスケート場、冬ならでは山の味覚。発想を豊かに考えたい。