4日未明の一報に心がざわついた。眠気が一気に吹っ飛んだ。厳しい寒さの中、現場では急行した記者が震えながら検視にあたる捜査員の一挙手一投足をじっと見つめた▼20年も前の話だが、仕事で通い詰めた慣れ親しんだ土地だ。私事だが縁戚も多い。第2の故郷が無残に踏み荒らされ、子どもをはじめ住民たちに要らぬ不安と恐怖を抱かせていることに腹立たしさが募る▼広域強盗事件が世間を騒がせている最中、立て続けに起きた凶悪事件。小さな警察署にたったひと月で捜査本部が2つも立つのは、異常事態といえよう。窪田の事件は物取りの可能性を視野に、捜査が進められている。広域強盗との関連は分からないが、ひとり暮らしの高齢者を狙った卑劣な犯行だ▼「私の家は何も盗むものはないから大丈夫」と、鍵をかけないお宅はいまだに多い。何もないことはない、大切な命がある。日本の安全神話は今、崩れつつある。自分の身は自分で守る時代に入った。