公開前から楽しみにしていた映画「仕掛人・藤枝梅安」。結局、見逃してしまった。上映館は居住地の目と鼻の先にあるにもかかわらず、午前中1回のスケジュールに都合がつかず、そのたびお流れとなり終了。来月予定の続編に期するしかない▼平のまちには何もない、などという声もあるようだが、それは少し的外れではないか。その一つに文化発信の映画館がある。昭和30年代の黄金期に比べるまでもないが、いまだ営業を維持することに敬意を表したい▼さて、膨大な資金と時間を投入した大作とは逆に手作り感のある自主映画が5日、いわきPITで上映される。地元で映像制作に携わる高羽努さんが監督と撮影、脚本を手掛けたタイトル「うみのこえ」▼震災から10年を経たいわきを舞台に津波で妻、多くの仲間を失い失意の底にいる父親と立ち直りを願う娘を軸に監督自身がこよなく好きだった海を投影した物語。約50分の内容で4回(入場無料)催される。
片隅抄