先日、第46回吉野せい賞が発表された。昨年に続き、正賞の該当作はなかった。運営委員会によると「残念だか、それなりに力のある作者の応募が続き、全体的には高い水準が維持されている」と評する▼過去、第36回まで10年間をさかのぼると応募点数は30~40で推移し正賞なしは、今回を含め7回。奨励賞をステップに準賞、さらに頂きを目指すわけだが、その壁を乗り越えるのが作者にとって一つの試練となる▼発表後、運営委員会との懇談で記者から「受賞者がメジャーな文学賞を取ったことがあるか」との質問があった。すかさず運営委員長から、本市出身で立川市役所に勤めながら執筆活動した河林満さん(1950~2008)の名が出た▼第103、109回の芥川賞候補で今年6月には遺作『渇水』が生田斗真さん主演で映画化されている。ある出版社のコピー「読んでから見るか、見てから読むか」ではないがいわきゆかりの作家を再認識したい。