「踏切があります」「一時停止です」「90分が過ぎました。ひと休みしたら?」「接近してます」と、購入した新しい車はやたらとしゃべる▼ドリームカー『ナイト2000』のキットのような高性能の人工知能とまではいかなくとも、昭和の時代に乗っていた車と比べたら、ドライバーの安全を守るための音声はキット並みの天の声だ▼NHKのニュースでは時おり、AIの自動音声で原稿が読まれる。よくできたもので、直前の案内がなければアナウンサーの生の声と区別がつかない▼それに比べて、政治資金パーティー裏金疑惑の渦中にいるセンセイたちの歯切れの悪さといったら…。選挙中の威勢のよさは微塵もなく、うつろな目を隠すようにうつむいて、誰かが書いた原稿をみんなでそろって〝棒読み〟でごまかそうとするばかり。守勢に回ったセンセイほど惨めな姿はない。国民・有権者を甘く見るなと言いたい。AIの自動音声のほうがよほど血が通っている。