これがいわき(平)だったらどうだろうかと思ったのは、取材で訪れた富山県高岡市でのことだった▼ここは加賀百万石といわれた加賀藩2代藩主前田利長によって開かれた城下町だ。高岡駅北側は石畳の通りに古くからの格子造りの家々が並ぶ金屋町通りや蔵造りの商家が連なる山町筋地区などレトロな雰囲気を醸す▼中でも東京ドームの4・5倍もある高岡城跡は桜や紅葉が美しい古城公園となり、市民憩いの場となっている。水濠はほぼ当時のまま。広大な芝生の本丸、二の丸、三の丸跡があり、市立博物館、動物園、体育館が建っている。古風な路面電車も走っている。それに反して、駅南側は北陸新幹線の新高岡駅を中心に、新しい町並みが形成されている▼いわき市は大同合併した弊害か、まちづくりに一体性がない。そして何よりも城下町の、温泉街の、自然豊かな山間部の〝風情〟がない。まちの〝再開発〟って新しいビルを建てることばかりではないだろう。