6日広島、9日長崎と原爆忌が続く。79年前、米軍の人類初の原子爆弾投下によって両都市は一瞬にして壊滅、数十万人の無辜の民が犠牲になった▼原爆投下から来年で80年を迎える。今ではあの忌まわしい出来事も、歴史の1ページとして風化が進むが、言語に絶する惨禍は、いつまでも記憶に留めるのが人類の責務と考える。原爆の証人としての被爆者の平均年齢も90を数える。今も原爆症に苦しみながら核のない世界の実現を訴え続けている▼そんな彼らの悲痛な叫びは、今の日本政府に届いているのか。核兵器のない世界を希求する「核兵器禁止条約」には不参加。それでいて歴代の首相は事あるごとに、「核兵器のない世界の実現に努力する」と言う。禁止条約反対の国が何をか言わんやだ。まずは唯一の被爆国として条約を批准し、その上で核保有国に対し強いメッセージを発信するのが筋だろう▼「核兵器は絶対悪」世界の指導者はこの言葉を胸に刻んでほしい。
片隅抄