何気に蚤の俳句を調べると、芭蕉から正岡子規まで、名だたる俳人が詠っているのを知り驚いた。なかでも一茶の作が目に留まる。「蚤の迹/それもわかきは/うつくしき」▼今年の夏は文字通り、うだるような暑さとなった。抄子の家は海寄りで、夜には心地よい海風が入り肌寒いぐらい。日が落ちればクーラーとは無縁だったが、さすがに我慢ならず、日がな1日クーラーの世話になっている▼もうひとつ変化が。例年なら蚊に悩まされていたが、今夏はまったくと言っていいほど蚊に刺されなかった。調べると、活発に活動するのは25~32度という。連日の猛暑日を考えれば納得がいく。家族が〝引く〟ほど蚊を苦手としている身としては、僥倖とさえ思えてしまう▼と思いきや、我慢ならないことが増えた。蚤の大発生だ。これには参った。腕や足に多くの刺された跡が残り、かゆみがいまも収まらない。若きは美しき、といった年齢はとうに過ぎ、ただ醜いだけだ。
片隅抄