福島の復興を実現するため、国がすべての責任を持つ――。2020年9月、石破茂氏が双葉町を視察した際の言葉を覚えている。あの時は4度目の自民党総裁選出馬だった。あれから4年、念願だった首相の座に就いた▼石破首相は政策の柱に「防災省」の設置を掲げており、側近の赤沢亮正経済再生担当相に「防災庁設置準備担当」を兼務させた。度重なる自然災害から「被災した職員に復旧事務をやらせてはならない」と呼びかける▼東日本大震災や東日本台風、昨年9月の水害では、自ら被災しながらも、その思いを押し殺して市民のために奔走した職員がたくさんいた。「『自宅が浸水した』と家族から連絡があった」と明かしながら、災害対策本部に詰めていた姿は忘れられない▼防災省を巡っては、現行の制度でも対応できると否定的な声もあるが、平時からの備えと有事の即応性は不可欠。復旧が進まず、再び災禍に襲われた能登を見ても、防災省は必要と考える。