黒のマオカラー(縦襟)スーツでおなじみの服部幸應さんが、今月4日に急逝した▼服部さんと言えば伝説の番組『料理の鉄人』を思い出す。和・洋・中の鉄人(アイアンシェフ)と挑戦者が対戦。メーンの食材は闘い直前に発表され、60分以内に3~4品ほど作り、その素材がもつ魅力を最も引き出した料理を4人の審査員が採点する▼実況の福井謙二アナ、冷蔵庫前レポーターの太田真一郎さんとともに、服部さんはハイレベルな真剣勝負の鉄人と挑戦者のそばで名解説をするのだった。料理人はもちろん、素材の肉や魚・野菜なども一級品、さらに厳正に評価をする審査員のコメントも濃い内容だった▼ところが今はどうだ。やたら大食いを自慢したり激辛料理を無理やり口に詰め込んだり、人気メニューを手当たり次第食べたり…。あるいは一般客がいる店内にアポなしでロケ交渉だ。揚げ句に感想は「うま~い」「あっさりしてるのに濃厚!」だと。見てるのがつらい。
片隅抄