「この新しい日本の再生にかける我々の思いは、この福島・いわき小名浜から挙げさせていただきたい」。石破首相が衆院選公示日の15日、小名浜で語った第一声だ。総裁選での言葉を反故にし、衆院解散を強行した姿勢には賛同できないが、被災地を思う心意気は買いたい▼東日本大震災当時、野党・自民党の政調会長だった石破氏は「現場感覚の共有が大事」と、視察先の宮城県女川市の体育館で、長いすの上に持参した寝袋にくるまって一晩を過ごした。そうした経験は重みを持つ▼来年度で政府が復興事業を後押しする「第2期復興・創生期間」が終了する。自然災害が頻発しているとはいえ、原発事故はあくまで現在進行形。財政的な裏付けは欠かしてはならない▼衆院選では福島4区に、同じ年代の新人3人が立候補した。誰もがこの地の復興・発展を願ってやまない。序盤は盛り上がりに欠けているが、ふるさとの将来に向けて、必ず一票を行使してほしい。
片隅抄