水戸に足を運んだ。目的地は復元整備し、令和2年完成の水戸城大手門。江戸初期の様式を残す古風な城門で、土塁に取り付く城門としては国内屈指の規模だ▼5年に及ぶ学術的調査と検討を進め復旧・整備に着手したが、注目すべきは募金活動を事業費の足しにしたこと。瓦を購入しその瓦を寄付する「一枚瓦城主」制度には多くの市民が賛同し実際の瓦に名前を記入するイベントも催された。城下町を誇りに思う住民の姿がまぶしく映った▼翻って磐城平城はどうか。一夜城の復活は遠く、市街地は地名以外、城下町の痕跡を探すのも難しい。「坂下門外に加え戊辰の負け方、堀を埋めて線路を引かれ(息を潜めるのも)無理はない」と知人▼泉で20日、市内唯一の大名行列が練り歩いた。「おらげの本多様」と古里に誇りを抱く住民の姿に水戸を重ねる。平城本丸跡地では今、公園整備が進む。果たして〝本家の一分〟を示すような存在となり得るか。注目でしかない。