水戸の街に近づくと、正四面体を規則的に積み重ねた不思議な建物が目に飛び込む。水戸芸術館のシンボルとして建てられた塔だ。その近くに昨年7月、水戸市民会館が移転・新築された。一歩中に入ると、4層分の吹き抜けに梁が互い違いに組まれ、心地の良い木造の空間が広がる▼大ホールのグロービスホールも趣にあふれ、音響反射板は水戸の名所・偕楽園の梅をモチーフにした意匠。設計は建築家の伊東豊雄氏で、国内外のさまざまな建物を手がけており、13年にはプリツカー賞を受賞している▼一度訪れたいと思っていたが、磐城桜が丘高が東日本学校吹奏楽大会に出場したことで、取材に行くことがかなった。初の大舞台に緊張しながらも、堂々とした演奏を繰り広げた生徒たち。〝ハコ〟の素晴らしさと相まって、豊かなサウンドが会場を包んだ▼街に溶け込むホールが文化芸術のハブとなる。いわきアリオスの持つ魅力を改めて認識する機会にもなった。