1966年に静岡県で起きた一家4人殺害事件の犯人とされ、80年に最高裁で死刑判決を受けた3歳違いの弟の無実を信じて再審請求を繰り返し、今年9月、実に58年かけて無罪判決を勝ち取った袴田秀子さんは91歳▼節目節目のニュースで見る秀子さんの言動は、とても91歳とは思えない活力が感じられた。人によっては既に鬼籍に入っていてもいい年齢。そうでなければのんびりと趣味を楽しみながら老後を送っていていいはずが、弟を救うための人生となった▼家族のため人生をかけている強い女性がもう1人いる。北朝鮮に拉致された娘を取り戻そうと国に、世論に訴え続けてきた横田早紀江さん。彼女も88歳だ。めぐみさんが生きていれば60歳。13歳で生き別れてから、彼女は当たり前の幸せと引き換えに、ひたすら娘の救出を待ち続ける人生を送ってきた▼さて、新しい総理大臣への期待はいかばかりか。トランプのようなアグレッシブさがあればいいのだが…。