1970年ごろから82年ごろに生まれ、全国に1700~2000万人いるとされる「就職氷河期世代」。与野党で盛んに支援策が協議されているが、当の本人から言わせてもらうと、ようやくか、というよりもう遅い。怒り心頭に発する思いだ▼何十何百と履歴書を送り面接にこぎ着けたと思いきや幾度も落とされ、ようやくの思いでつかんだ就職先では、四十を過ぎても給与は新卒のままで休みも満足に取れない。煮え湯を飲まされ続けるなか、バブル組の華やかな昔話を忸怩たる思いで聞く▼就職できれば御の字。非正規雇用でその日暮らしを続け、心身を壊す学友を多く見聞きした。新卒の初任給が30万円台という世代間の格差を目にするたび、報われない思いは募る一方▼そして年金も期待できないとなると、生きる気力すら失われてしまう。これを政治責任と言わず、どう説明するのだろう。空虚感を抱いたまま国会議論を眺め、きょうも一人深いため息をつく。
片隅抄