映画「フラガール」が２００６年に上映され、来年２０周年を迎える。弊紙では撮影段階から公開まで追いかけてつぶさに紙面を割き、公開直前には大々的に特集を組んでヒットを祈願した▼真っ白な衣装を身にまとう、蒼井優さん演じる紀美子がクライマックスのシーンでみせた、鬼気迫る、熱いステージは今も思い出すだけで感情が昂る。実話を基にしたフィクションながら、撮影に向けて猛特訓を重ね、踊りに情熱をかけた演者のドキュメント性が見る者の心を奪い、作品の価値を高めた▼監督を務めた李相日さんの最新作「国宝」を鑑賞し、当時の想いがよみがえった。映像美と演出も楽しめたが、それ以上に演者たちの魂を込めた迫真の舞台に目を奪われた。吉沢亮さん演じる喜久雄に紀美子を重ね、節目を迎えるフラガールへのオマージュか、とさえ感じたほどだ▼国宝のヒットにより、フラガールが注目を集めている。抄子も久しぶりに紀美子と会いたくなった。
