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片隅抄

2025.09.30

20代後半のころ、毎週末になると入遠野に通い、キャンプ場や周辺で行われている住民有志による『開拓』や手仕事の伝承の様子を取材した▼竹細工や桶、鍛治、そして中世から続く手漉き和紙。職人たちの熟練の技には凄みすらあった。「実際にやってみなきゃ記事にはできねぇべ」と、最後の遠野和紙職人、故・瀬谷安雄さんから渡された簀桁の重さは二十数年たった今も鮮明に覚えている▼紙繊維の楮やネリが入った漉き船の水の中に簀桁を入れるが、前後に揺らすだけでやっと。繊維を均一にすることなんてできようもない。「(瀬谷さんの)その細腕でどうして」。まさに400年以上の伝統の重みを感じた瞬間だった▼勿来関文学歴史館で来年1月まで、遠野和紙を題材とした企画展が開かれている。史料や文献展示にとどまらず瀬谷家の好意で実際に使われていた道具も並べられ、その伝統や魅力を伝えたいとの熱意をヒシヒシと感じた。一見の価値あり、だ。

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