映画館で初めて作品を見たのは小学５年生の夏休み。姉が見たいからと世界館ビルについて行き、テレビとは違う、そのスクリーンの大きさと音響に感動した▼学生時代は香港のカンフー映画最盛期で、瞬く間にぞっこん。レンタルで過去作などを友人とあさり、休み時間ともなると映画のワンシーンや主人公が繰り出す拳法の型を再現。鍛錬に使う器具「木人椿」を購入しようか本気で考えたほどだ▼就職してからすっかり離れていたが、コロナ禍を機に『お家時間』で映画熱が再燃。いまは月に１度はシネコン通いを続けている。学生時代に映画論議をした思い出の地が、湯本だった▼地元を中心にコアなファン層から支持を得ていた湯本のミニシアターが、今月いっぱいで閉業する。シネコンでなかなかお目にかかれないラインナップが魅力だった。音楽や演劇とともに大衆文化を支える一つが街から消えるのは寂しい。駅前再開発後、いつか復活することを願いたい。
