鮫川流域に出自の縁があり、いまも頻繁に勿来や北茨城へと足を運ぶ。勿来関から平潟、五浦にかけての情景に郷愁を感じ、近年は好んで茨城県天心記念五浦美術館を訪れている。館内から見渡せる海原の表情が何とも心地よい▼26日に最終日を迎えた企画展「水木しげるの妖怪『百鬼夜行展』」を訪れ、その盛況さに驚いた。駐車場は常に満杯。本館への坂に路上駐車の列が連なり、それでも入りきらず近くの空き地を臨時駐車場に。国道6号から美術館へと向かう道は徒歩で向かう人々の群れが▼3年前にも市立美術館で水木氏の企画展が開催され、熱狂ぶりに圧倒されたが、個人的に満足度は五浦が各段上。理由は明快で、単に展示スペースが広いため展示物が多く内容が濃密で、見ごたえがある。これは今展に限ったことではないが▼コレクションや企画展の内容は毎回素晴らしいだけに、何とも惜しい。どうにかして展示スペースだけでも増やすことはできないか。