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片隅抄

2026.02.17

東日本大震災の津波を撮影するため、小名浜港に『突っ込んだ』。使命感かどうかは今も分からないが、自然と体が動いた。押し寄せる津波を前にしても不思議と怖くはなかった▼寸前のところで県の出先機関に駆け込んだ。1階は波に覆われたが、実感がわかない。3階建ての岩手県・南三陸町の防災対策庁舎が津波に飲み込まれたとの防災無線も耳にしたが、どこか他人事だった▼そこから3週間はがむしゃらに生きた。心を奮い立たせた。ただ遺体安置所や平豊間、薄磯で、全てを失った住民に話を聞くのは精神的に堪えた。感情が出ないよう『無』を意識したが、「自分も被災者なのに」との思いが邪魔をした▼先日、大規模修復を終えたばかりの震災遺構、『奇跡のピアノ』の生演奏に立ち会った。複雑な感情から正直、このピアノを長く受け入れられなかったが、自然と向き合うことができ、軽く驚いた。もう15年、まだ15年……受け入れ方は人ぞれぞれだろう。

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