著 者：竹田 人造
出版社：早川書房
価 格：1100円（税込み）
ＡＩが裁判官務める法廷人間の弁護士はどう挑む
物語の舞台は、裁判を円滑かつ公正に運営するためにＡＩの裁判官が導入された近未来の日本。機械化された法廷で数々の依頼人たちを無罪にしてきた主人公の機島は、勝訴のために手段を選ばぬ悪名高い弁護士です。
ＡＩ裁判官を翻弄する「魔法」を駆使して裁判を勝ち続けていた機島でしたが、迂闊にも依頼人である軒下に魔法のトリックを知られてしまいます。現在、殺人事件の被告人である軒下は、機島の秘密を守る交換条件として「裁判で事件の真犯人を立証する」という無理難題を要求。機島は事件の真実を求めて暴走する軒下に振り回されながらも、勝訴の魔法を携えて裁判へ挑みます。
公平無私で、正確な判決と裁判の迅速化を実現させるというＡＩ裁判官は、人間の代わりとして次世代の司法を担う存在となり得るのか。心を持たないプログラムに司法を委ねる事への是非を考えさせられる反面、倫理観を捨てた悪徳弁護士と個性的な登場人物たちが魅せる法廷劇に心が躍る一冊です。
（鹿島ブックセンター勤務）
※紹介する人：武田景佳さん
