中面連載コーナー
『異界にふれる ニッポンの祭り紀行』
著 者:大石 始
出版社:産業編集センター
価 格:1485円(税込み)
全国18カ所のハレの行事訪ね地域の思いに触れる
なぜ、人々は祭事、神事に熱狂するのか。この本はそれらの「非日常」に身を浸し続けた著者が綴る旅行記のようなものだ。
北は秋田、南は沖縄まで。著者の巡った土地は大小さまざまな神、精霊といった人ならざる者が存在する。また、それを崇め、奉るための踊りや口伝、祭りなどを総じて「文化」が多く点在する。秋田のナマハゲや山形の加勢鳥のような来訪神に願う場合もあれば、新潟の木津棧俵神楽のように人の手で「器」を作り、そこに祈りを込めたり、静岡の吉原祇園祭のように人と人ならざる者の境界に立ち、無病息災を願う祭りもある。
著者はこれらの体験をただ消費するのではなく自己に還元し、糧にしなければいけないと説いている。この本をきっかけに祭りに興味を持ち、体験していただくことで、現代社会で凝り固まった思考や認識がリセットされ、「非日常」から新な尺度を得ることで自己の世界を広がる一慮になればと思い、この一冊をオススメ致します。
(鹿島ブックセンター勤務)
※紹介する人:高橋 譲さん