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ボタニカルアート

いのちを描く(12月5日)

コギク

ボタニカルアートの世界  冨田武子

花の少ない時期に目立つ存在

 紅葉も過ぎて冬将軍が到来する時節になった。つい先頃まで、テレビでは連日紅葉の見どころを放送していて、家に居ながらにして名所の紅葉を楽しむことができたが、今はもう近所の公園のイチョウの黄色い葉や隣家のカキの紅く染まった葉がパラパラと散るのを目にするばかり。
 わが庭でも目立つのはキクだけになっている。キクといっても大輪や厚物という立派なものではなく、白や黄色、赤などの雑もので、それでも葉が落ちてめっきり見通しの良くなった庭の引き立て役になっている。
昨年までは白やピンクの花が多かったようだが、今年はどうしてか黄色が多い。分類上はコギクと呼ばれる種類で、菊人形などに使われるという。秋遅く開花するが茎が細長いので風に揺れて右に左に傾き、地面に這いつくばるように咲いている。行儀の悪い咲き方だが、わが家の放置庭ではそれがまた風情があるように見えるから相見互いだ。
 庭木のジャングル化に「いくら自然が好きだからと言ってもこの庭では来てくれる方に失礼だ」。傍からの声が耳に痛い。花が終わったら「剪定するよ」「伐るよ」と言いつつ手入れを先延ばしした結果がこうなったのだが、家主の優柔不断は当分治りそうもない。

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