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ボタニカルアート

いのちを描く(河津桜)

艶やかで心惹かれる桜かな

 今年は、暖冬らしく早くから花の便りが聞こえてきている。最近ではテレビ等で河津桜の満開の映像が繰り返し流れていて、地元でも開花が報道されるようになった。
 毎年、描きたいと思いながらも入手できないでいたところ、知人が庭にあるからと数本の枝を持参してくれた。玄関に飾ると蕾がはじけるように開き始めてピンク色の花と甘い香りとで華やいだ。
 河津桜は、昭和25年頃静岡県河津町の某氏が河津川沿いに自生していた桜の木を庭に移植し、それを伊東市の勝俣光也氏が増殖して広めたもので、早咲きオオシマザクラとカンヒザクラとの自然交配種と推定され、昭和49年に『カワヅザクラ』と命名されたという。早咲きというニュース性を持つことから、近年特に話題に上がることが多くなっているのだろう。
 縮れ気味で赤味の濃い花弁や黄緑色の花柄など艶やかで心惹かれる花だが、描いてみるとやはり難敵だ。自然はいつも手ごわい。
描き疲れて画面から眼を転じると、花はただただ静かに優しく、美しく佇んでいる。

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