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震災12年 読響・篠崎さんとN響・黒金さん 今年も変わらず故郷で演奏会
バストロンボーン2本とピアノのアンサンブル「Trio Sync.(トリオシンク)」のコンサートが28日、いわき芸術文化交流館「アリオス」音楽小ホールで開かれた。
メンバーのうち、バストロンボーンは、読売日本交響楽団の篠崎卓美さん(平出身)と、NHK交響楽団の黒金寛行さん(植田町出身)の2人。当初は平成23(2011)年2月に〝一度限り〟の公演を予定していたが、翌3月の東日本大震災をきっかけに、ふるさとに音楽で癒しを与え、12年経ったいまも活動を続けている。
バストロンボーンは、一般のテナートロンボーンを太くした楽器で、主に低音を担っている。
もともとは篠崎さんと黒金さんが、互いの恩師に活躍した姿を見せようと、アンサンブルを組んだが、東日本大震災によって思わぬ形となった。浄財を寄せるため、チャリティーコンサートを行ったほか、制作したチャリティーCDは異例の大ヒットとなった。
やがて活動を共にしていたピアニストの城綾乃さんを交えて、「トリオシンク」を結成した。日本を代表するオーケストラに所属する傍ら、東京や大阪、福岡でも演奏の機会を持ち、後進の育成にも励むが、地元で3月に開催するコンサートに対する思いは強い。
篠崎さんは今年50歳を迎える。「最初の頃は30代で、いまの黒金君と同じ歳だった」と明かして、訪れた人を沸かしていたが、それだけ歳月を重ねてきたことを意味する。
黒金さんも「毎年3月に変わらず演奏会を行っているが、特別に感慨深い気持ちになる」と打ち明ける。
東京芸大に在学中からNHK交響楽団に加わり、同大を首席で卒業した後はドイツに留学し、現在は海外のイベントにも招かれる奏者となっても、こうして12年にもわたって、地元でコンサートが続けられることに感謝している。