歌枕に名高い勿来の関を貴重な文化遺産を生かし、勿来を〝短歌の里〟として周知するために30年来続けている、勿来ひと・まち未来会議(関根匡会長)主催の「第36回勿来の関歌会」で、郷ケ丘の遠藤浩子さん(75)が投句した「関跡の麓にありけむ賤家のけむりに見えて春霞立つ」が、勿来の関の部第1席のいわき市長賞を受賞した。
同部門の特選、入選5首ずつ、今年から設けられた自由部門の特選1首、入選3首の表彰式が15日、勿来の関公園の体験学習施設「吹風殿」で催された。
紀貫之や小野小町、和泉式部、西行法師など、多くの歌人が歌枕に取り上げてきた風光明媚な勿来の関を〝短歌の里〟として広く周知するために毎年催されており、歌集「ふるさとは赤」(本阿弥書店)で知られる双葉郡浪江町出身の歌人・三原由起子さん=いわき光洋高卒=も過去に入選するなど、プロアマを超え、愛好家たちの熱視線を集める歌会として親しまれている。
より間口を広げ、若年層にも短歌に親しんでもらう機会を創出するため、昨年まで実施してきた一般の部を自由の部とし、一般に加えて地元勿来地区の全中学校と勿来高、いわき支援学校くぼた校、勿来工業高からも昨年1年間募集したところ、両部門に189首(昨年144首)の投句があった。
選歌は、伊藤正幸市短歌連盟会長と水竹圭一同連盟副会長が務めた結果、勿来の関の部は遠藤さんの句に。昨年に引き続き2年連続の市長賞という快挙で、15日に吹風殿で催された表彰式で、遠藤さんは芳賀栄樹市勿来支所長から表彰を受け、「驚きでいっぱい。本当に光栄です」と喜びをかみしめていた。
また自由部門では、勿来一中3年生の櫛田和磨さんの「霜おりる朝に一言『おはよう』と冷えた体に暖かい心」が、第1席の勿来ひと・まち未来会議長賞を受賞した。
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