いわき市の海水浴安全対策会議が16日、市文化センターで開かれ、今年の市内海水浴場は7月15日~8月15日の32日間を開設期間とし、昨年と同じく久之浜・波立、四倉、薄磯、勿来の4カ所とすることを決定した。初日の7月15日に海開き式を開催し、四倉をメイン会場とする。
今年は新型コロナウイルスの感染対策緩和によって、県内外からの来場者が見込まれる。一方で海水浴関係者からは、東京電力福島第一原発の汚染水を浄化した後の処理水を巡り、今夏までに予定される海洋放出に対する懸念の声が聞かれた。
いわき市では、東日本大震災前の平成22(2010)年、10カ所の海水浴場に80万1413人の入込客数があり、夏を代表する観光として知られていた。
震災翌年の平成24年に勿来から再開し、同25年に四倉、同29年に薄磯、令和元(2019)年に久之浜・波立も復活した。しかし同2、3年は新型コロナウイルスの感染拡大によって、すべてで開設中止を決めた。
昨年は3年ぶりに海開きが行われ、7月16日~8月15日の31日間で、久之浜・波立、四倉、薄磯、勿来の4カ所に11万9897人が訪れ、震災後最も多い結果となった。ただ震災前の平成22年と比較すると、約15%の回復にとどまっている。
四倉海水浴場安全対策実行委員会の公平和俊委員長は、「令和2、3年と開設できず、昨年もコロナ対策を徹底した中での海水浴だった。今年は恒例のビーチスポーツの大会も予定しており、多くの人に足を運んでもらいたい」と期待感をにじませた。
また出席者からは、原発処理水に関する意見も相次いだ。薄磯海水浴場安全対策実行委員会の鈴木幸長委員長は「民宿を経営している身でもあり、海水浴期間中の放出はあるのか」と疑問を呈した。
こうした思いに、内田市長は「国と東電は『関係者の理解なしに海洋放出はしない』と言っており、そもそも理解はいまだ途上と感じている。漁業者のみならず、そうした皆さんの声も国や東電に伝えていきたい」と強調した。
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