小名浜港に29日、今シーズン初めて本格的にカツオが水揚げされた。初水揚げをしたのは、県内で唯一のカツオ漁を行う「酢屋商店」(小名浜字栄町、野﨑哲代表取締役)の運搬船・第33寿和丸(総トン数355トン)。同社の船団が27日夕方から夜にかけて、千葉県・犬吠埼の東南東沖約240kmで取った約58トンで、初夏の味覚の到来に港は大いに沸き立った。大きさは1・8~2・5kgの中型が多いとされ、脂の乗りも十分で、1キロあたり450~150円の値が付いた。
水揚げは午前6時半ごろから始まり、銀色に輝くカツオは次々とベルトコンベヤーで運ばれ、重さ別に次々と仕分けされていった。市内のスーパーマーケットや鮮魚店では、午後から販売が始まり、さっそく市民らの食卓に届いた。
船団は4月19日からカツオ漁を始め、伊豆諸島・八丈島近海を北上しながら漁場を探した。小名浜港の初ガツオは例年、大型連休(ゴールデンウイーク)ごろのため、今シーズンは約1カ月遅れとなった。昨年からも17日遅い。
酢屋商店の取締役・野﨑太さん(40)は「今年は特に魚群の形成が見られず、水揚げするのが難しかった。水温の関係などが考えられるが、詳しい理由は分からない」と明かす。どうしてもキハダやビンナガマグロが中心となった。そうした中でも、少しでも地元にカツオを届けたいとの思いから、「ようやく皆さんに味わってもらえる」と笑顔を見せる。オススメの食べ方は刺し身と太鼓判を押す。
しかし今後も継続して、小名浜港に水揚げできるかは不透明という。さらに東京電力福島第一原発の汚染水を浄化した後の処理水を巡り、今夏にも予定される海洋放出も、どう影響するか分からない。それでも野﨑さんは「地元の方のため、これからも小名浜港で水揚げしたい」と改めて意気込みを示した。
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